第13戦 アラゴングランプリ

125CCクラス
マルクマルケスは痛恨のリタイヤ。スタート直後、後続のクルメナッハーが転倒。マルケスの後輪を払うように接触し、マルケスはどうすることも出来なかっただろう。強いて言えばスタートで出遅れたことが敗因。レースはテロルとエスパルガロの一騎打ちとなり、エスパルガロが最終ラップにテロルをパスして第3戦以来の優勝を飾る。
この結果テロルが総合1位に浮上。6ポイント差でエスパルガロ、11ポイント差でマルケスが3位となる。

moto2クラス
富沢祥也の事故死を受けて全員が彼のゼッケンナンバー「48」をどこかに付けてレースに臨む。レースはイアンノーネがポールスタートから独走でフィニッシュ。レースを決めた。エリアスは12番グリットからスタートし、4位でフィニッシュ。終盤の追い上げは迫力満点で3位に0.8秒まで肉薄した。
優勝したイアンノーネは富沢選手のゼッケンが書かれた旗を持ってのウィニングラン。感動的なシーンを演出した。
レース前のプレスカンファレンスではエリアスが富沢選手に「ミッシェル・メトロ・トロフィー」を捧げる事を提案した。この賞は毎年125ccと250ccクラスのベストプライベーターに授与される。今年から始まったmoto2クラスはプライベートチームがないため、ライダー達の投票によって決めることになっていた。

motoGPクラス
ケーシー・ストーナーが久々の快勝。決勝レースはトップ争いこそストーナーの独走になったが、ロレンソとヘイデンの3位争いが実に見応えがあった。最終ラップのシケインでヘイデンがロレンソを捉えるが、トップスピードでドゥカティのマシンに劣るヤマハとしては、シケインの後に続く長い直線で抜かれないためには、シケインでスピードを落とさないラインを走るしかなく、ヘイデンをブロック仕切れなかった。ヘイデンがシケインの出口でロレンソのインへねじ込んだ走りは息を呑む瞬間だった。
それに比べるとスピーズとドヴィチオーソの争いはドヴィチオーソの不甲斐なさが目立ってしまった。トップスピードで分があるのはホンダのマシンに乗るドヴィチオーソ。シケインでスピーズに肉薄し、ストレートでスピーズの前に出ながら、ブレーキングでスピーズに抜き返されてしまった。次の周回では敢無く転倒を喫する。限界を超えてしまったということだろう。来期のホンダファクトリーのシートはストーナーとペドロサに決まり、ドヴィチオーソは押し出される結果に。来期のシートを獲得するためにも残りのレースで奮起するしかない。それにしても来期のヤマハ、ホンダ、ドゥカティの争いは面白くなりそうだ。

第12戦:サンマリノグランプリ

125CCクラス
マルケス会心のレースで今期5勝目。スタートダッシュを決めたもののテロルに抜かれ、どうするかと思っていたらそこからが凄かった。テロルにプレッシャーを掛け続け最後にはテロルが根負けしてトップをゆずってしまう。
予選からラップタイムはマルケスの方が早く、そのアドバンテージを上手く勝利に結びつけた。おそらく作戦を授けられていたのだろうが、それを実践できる彼のポテンシャルは今後本当に楽しみだ。テロルがトップをゆずったのが何故なのか真相はわからないが、どんな理由があったにせよ、あっさりトップの座をゆずってしまう行為に隠された彼の弱さは今後何度も彼を苦しめるかも知れない。

moto2クラス
今回もエリアスの強さばかりが目立った。高橋はラスト5周で転倒リタイヤ。どうも上手くいかない。マシンのセットアップが上手くいかないと言う声は聞こえてくるのだが、もどかしい。
このレースで転倒を喫した富沢祥也が救命処置の甲斐もなく逝ってしまった。無邪気な笑顔が印象的な19歳。早すぎる死だ。担架で搬送されるシーンを見ていたが、まさか死亡するとは夢にも思わなかったのでmotoGPのレース終了後に流れたニュースに呆然としてしまった。今は心からお悔やみを申し上げる他ない。今期メキメキと力を発揮してきていただけに、時間が経つほどに無念さばかりがこみ上げてくる。ロッシが彼を「funny boy」と評していたのが耳に寂しい余韻を残す。安らかに眠って欲しい。

motoGPクラス
ダニーがポール・トゥー・ウィン。最初から最後までトップの座を明け渡すことなくレースを決めた。ホンダのマシンも熟成されてきたようで調子がいい。ダニーは混戦に弱いところがあるが、これからどれだけロレンソを追いかけることができるか。
青山は怪我が完治しない中無難にレースをまとめた。スタート直後のカピロッシとヘイデンの接触に巻き込まれることなく、最後まで攻めていたと思う。

motoGP第11戦インディアナポリス

125CCクラス
マルク・マルケスの若さが悪い方へ出たレースだった。
ポールポジションから順調にトップを走っていたマルケスが9周目に転倒。必至でこらえてバイクにしがみついていたお陰かバイクにダメージは少なく、レースに復帰した後も快走し、順位を上げていった。ラストラップにコースを外れたマルケスがかなりショートカットして5位集団に追いついてしまう。その後そのままの順位をキープしていればよかったのだが、5位集団をパスして自ら5位に浮上。レースを終えた後10秒のペナルティをもらい、結局10位という結果に終わった。
9周目に転倒するまで、2位テロルを引き離し、テロルはついていく事ができず2位キープの走りに徹していたように思う。マルケスが焦る必要は無く、もったいないミスだった。復帰後のラストラップも冷静な判断が出来なかったと思われる。レースを終えた後の彼のうつろな表情が印象的だ。逆にテロルは堅実なレース展開で2戦連続の1位。マルケスが年間チャンピョンを取るにはもう一皮剥けないと無理だろう。

moto2クラス
トニー・エリアスのチャンピョンへの執念を感じるレース。最初のスタートは多重クラッシュにより、再スタートになる。2回目でのエリアスのロケットスタートはすごかった。6位グリット(2列目の中央)から1コーナーのインへめがけて一気に飛び出し、1コーナーの渋滞を尻目にスパートを掛ける。一度は2位に後退したもののシモンをアウトから一気にパスをする思い切った走りをみせ、1位フィニッシュ。今年のmoto2はエリアスのものかも知れない。

motoGPクラス
ダニーが快走で今年3度目の1位。彼にとって年間2勝の壁を破る嬉しい勝利だった。ロレンソは無理をせず3位をキープ。大人になったもんだ。レース後のインタビューでは不満だと言っていたが、年間チャンピオンを見据えて走り方を変えたのは明らかだ。ベンはサテライトながらヤマハ勢のベストリザルトで2位フィニッシュ。来年ヤマハのファクトリーに移籍が決まった直後のレースで祝砲をあげた。貪欲な性格なのかレース直後には1位になれなかった悔しさを表情ににじませていたのが印象的だ。気になったのはコーリン・エドワーズ。フィーリングが合わなかったのか途中でピットインし、リヤタイヤを交換。その後再スタートを切るも、途中で自らバイクを降りてしまった。どんな状態でも走りぬくのか、結果が出ないと解っているなら途中で止めるのか、判断が分かれるところだが、クルーに声を掛けることもなく、バイクを降りて控え室に去ってしまう態度はいかがなものか。クルーは必至でバイクを調整しているし、恐らくこのハプニングの後も休まずに原因究明に精を出すに違いない。ライダーが自分のフィーリングを伝えなければクルーは仕事ができない。エドワーズが飛躍できない一因を見たような気がした。
青山は復帰戦を完走した。彼もホッとしたのではないか。

今日のレースは気温が異常に高く、路面温度は50度を超えた。それに加え路面の状況もつぎはぎが多くバンピーだという。難しいコンディションの中で転倒するライダーも多く、moto2クラスでは11台が完走できずにレースを終えた。そんなコンディションだからこそ日頃のライダーの弱点が露呈した1戦でもあった。見応えがあり、面白いレースだった。
moto2クラスの日本人ライダーは一人も完走できずに終わった。高橋と富沢はクラッシュに巻き込まれて転倒。不運な面もあるが、他人を押しのけてでも前を狙うのが、日本人には向かないのかも知れない。そんな性格の人が身近にいたら、きっと「嫌なやつ」だと思うだろう。きれいに走り、きれいに勝つことにかけては皆優れている。それでも自分の走りに徹すれば去年の青山のようにチャンスはあるはず。折れずに頑張って欲しい。

シー・シェパードの正体

本書は「シー・シェパード」(以降SS)の問題を捕鯨国と反捕鯨国の間にあるいわゆる「捕鯨問題」とは切り離し、日本が「エコテロリスト」とどう戦うかという問題だと説く。
ポールワトソンの人となりを生い立ちから検証し、彼がなぜグリーンピースと袂を分かち、SSを立ち上げたか、なぜ捕鯨、それも日本の調査捕鯨を執拗に狙うのか。その背景を明らかにしていく。
世界中にSSの支持者がいる。特にハリウッドには多い。SSがアメリカで行うキャンペーンは極端に少ないのに、アメリカに本拠地を置いている理由はアメリカが税法上の特典を受け易いからだという。アメリカでは政府や企業が携わらない市民社会活動には、税の減免措置を受けられる制度がある。SSが減免措置を受けるほか、SSに寄付をする個人やスポンサー企業も税控除の対象となる。ハリウッドで多くの寄付が集まるのはそういった背景もあるという。(勿論それだけではない)ワトソンはそういった事情を最大限に利用するためにアメリカに本拠地を置いている。
日本の調査捕鯨を「違法」と言い続けることでよく知らない人は日本が違法に調査捕鯨をしていると信じ込んでしまう。実際は国際捕鯨委員会で認められている。ワトソンのメディア戦略はこのような効果を狙ったものが多い。
著者はワトソンが類まれな戦略家であり、冷静な頭脳を持ったカリスマ性のあるリーダーであることを認め、それに対抗するためには余程戦略を練らなければならない。と至ところで警鐘を鳴らしているように感じる。
オーストラリアがなぜSSを支持するのか。ひとつはホエールウォッチングがオーストラリアの貴重な観光資源になっていること。もうひとつは南極海がオーストラリアにとって「裏庭」のような存在であること。そこへ日本の調査捕鯨が「勝手に」乗り込んできて貴重な観光資源であり可愛い友達でもある鯨を捕獲する。というのがオーストラリアの人の普通の感覚だという。政治家もそれを受けて日本の調査捕鯨を目の敵にする。
アニマルプラネットの「Whale Wars」の大ヒットでSSに集まる寄付は年々増加している。資金が潤沢になったSSは装備も充実し、妨害活動を行う船も増やしている。このままでは日本の調査捕鯨は立ち行かなくなってしまう。調査捕鯨に関わる人は危機感を募らせている。
著者はSSの正体を冷静に分析することに勤め、その対策については述べていない。政府の対応についても是とも非とも言いはしない。それがポールワトソンの正体を際立たせることに成功しているように思う。この本を読んでSSのポール・ワトソンが本気で鯨を守ろういう固い信念を持っていることがわかる。そのためにあらゆる手段を講じ、言葉巧みに信者を増やし、日本を追い込んでいく。それが又お金を生むからである。だからこそ、その場しのぎの対応ではどうにもならないことも強く感じる。個人的には日本の政府が国の食文化や産業を守るため、そして何より日本国民の尊厳を守るために情報を収集し、戦略を練り、粘り強くSSに対抗して欲しいと思う。捕鯨やイルカ漁に批判が集まることで日本人が罪悪感を持つようなことがあってはならない。


シー・シェパードの正体
佐々木 正明著
扶桑社新書
ISBN : 978-4-594-06214-9

ラストキング・オブ・スコットランドを観て

そりゃフォレスト・ウィテカーは演技達者ですよ。ジェームス・マカヴォイも頑張っていたと思う。でもやっぱりこういう映画は苦手だ。ホラー映画かと思った。だけどホラーなら思いっきりフィクションにしてくれなきゃ、観ている方はつらい。
世界の陰部にも目を向けて、圧制で苦しんでいる人の境遇を思うのも大事かも知れないけど、それならドキュメンタリーでいいじゃない。
映画は夢を売るもの。第一に楽しくなけりゃ意味がない。

motoGP第10戦:チェコグランプリ

125cc
6戦連続優勝がかかるマルケスだったが初日の転倒で肩を脱臼。
この影響がマシンのセットアップにまで影響し、ウェットからドライへと変わる難しいレースコンディションに合わせることが出来なかった。
代わって優勝したのがテロル。彼は21歳のライダーだが、まだ幼さが残る真っ直ぐな目をしている。彼だけはマシンのセッティングがバッチリ合っていたのかスタートから飛び出し終始独走でレースを決めた。
注目は小山のチームメイトでまだ17歳のコーンフェイル。小山は彼の育成のためにチームに呼ばれたのだが、このレースで自己最高位の5位フィニッシュを決めた。

moto2
ポールポジションスタートの富沢翔也はマシントラブルを抱えていたのかスタートから3周目以降ズルズルと順位を落とし、最終的には10位フィニッシュ。代わって高橋裕紀が後半12位から猛チャージをかけ2位フィニッシュ。「後半になると何故かグリップがよくなる。」と言っているそうだが、その辺の原因が掴めれば後半戦は上位進出が望めるのではないか。
トニーエリアスは強い。去年まではこんなに強いライダーだと思っていなかった。
彼のハングオフはダイナミックだ。お尻の位置が他のライダーより下がるので体が極端に折れ曲がったようになる。その姿が勇ましくとてもダイナミックに見える。
フォームとしては無理があり、あまりよくないのだろうが、見るほうはワクワクする。

motoGP
ペドロサがポールショットを決めるもののロレンソ、スピーズに抜かれてしまう。その後スピーズは抜き返すもののロレンソとの差は詰めることが出来ず、逆に後半になって次第に差をつけられてしまう。ロレンソの強さは後半も健在のようだ。
このレースでドヴィチオーソが転倒を喫するが、その時マシンも本人もコース上に残されてしまい、後続のライダーとあわや接触の危機的状態だった。しかし誰一人接触、転倒する者は無く事なきを得た。一流の危機回避能力を持ったライダーの集まりだからこそだろうが、ヒヤッとする瞬間だった。

CSI:9 コード4(No Way Out)

閑静な住宅街で銃撃事件が起きた。
自警団の団長と7歳の少年が殺害される。現場に残された銃弾はいづれも9mmだった。
別な場所では車に乗ったスネークバックのメンバーが22口径で射殺されていた。2つの事件の関係を見つけられない中、ラングストン教授とライリーが操作中に偶全見つけた地下室で麻薬精製の装置を発見するが、そこに隠れていたフランキーが22口径で二人を脅し危機的状況に。フランキーはまだ少年でパニックを起こし何時引き金を引くかわからない。しかも実験室には優秀な大学生でフランキーの従兄レイジーが大怪我をして倒れていた。
教授とライリーはお互い辛抱強くフランキーを説得しレイジーの応急手当をすることを承知させる。だがそれをきっかけに事件は解決へ向けて急速に展開する。

この事件をきっかけに新加入のライリーもCSIの一員としてメンバーとの絆を強めたように感じる。
ラングストン教授はもともと社交的な人格者だが、ライリーはちょっとひねたところがあって、心配していたから・・・。